2014年11月10日月曜日

「今をいろどる~現代日本画の世界」(1)

1031日から「今をいろどる~現代日本画の世界」展がスタートしました。約40点の構成ですが、大形の迫力ある作品が多く、また一点一点に見ごたえがあり、濃密な空間になっています。

この展覧会の構成は、昨年(平成25年)の夏に展示室2で行った特集展示「日本画の半世紀」が基本となっています。


(↑平成25年度 特集展示「日本画の半世紀」会場)

 この時に対象とした、1960年代から2000年代までの50年間は、抽象表現主義やアンフォルメル等の新思潮が次から次に日本の美術界を席巻した激動の時代でした。その中で日本画家たちは、顔料の厚塗りによる強固なマチエールを試みたり、描く題材で現代性を表現しようと取り組んだり、素材を見直し長所を活かそうとしたり、それぞれのやり方で日本画の可能性を追求してきました。そのような半世紀の流れを、岐阜県美術館の所蔵する現代日本画から厳選して、作品によってたどる試みが特集展示「日本画の半世紀」でした。コレクションの現代日本画をまとめて見る機会となり、「もっと作品があるなら見てみたい」という声もいただきました。

この特集を改めて企画展として組み直すところから、「今をいろどる~現代日本画の世界」展の準備がはじまりました。特集との大きな違いは、「現代」「今」をタイトルに入れ、まさに今、活躍中の作家の近作・新作を、構成に加えて、「日本画の現在」を意識した点です。

 ↑「今をいろどる~現代日本画の世界」展会場、
  神戸智行さん(左2点)、加藤良造さん(右2点)の作品

地元ゆかりの中堅どころの日本画家の中から、長谷川喜久さん(1964年~ 岐阜市出身・在住)、加藤良造さん(1964年~ 多治見市出身)、山本真一さん(1967年~ 名古屋市出身、岐阜市在住)、神戸智行さん(1975年~ 岐阜市出身)の4人にご協力をお願いし、新作を出品していただきました。長谷川さんは日展、加藤さんが創画会、山本さんが日本美術院に所属されており、神戸さんは無所属です。日本画の大規模な公募展を主催する3つの団体と、それらに所属せず別の方法で作品を発表するという、現在の日本画家の活動の在り方もこの4人に凝縮されています。

彼ら4人も含めて、岐阜県美術館の所蔵する日本画の中から、展覧会のために選んだ画家は18人です。その内訳は、地方公立美術館のコレクションに共通する特徴から、やはり地元ゆかりの人(出身者、在住者)に偏っています。ですから、当館所蔵品のみで現代日本画の全体像を語ることは不可能なのですが、それでも岐阜県は優れた美術家を輩出している土地柄なので、日展・院展・創画会という日本画の3団体それぞれに所属する画家を選び、また円空賞受賞作家である齋藤隆さんのような、団体を越えた活動をしている画家も含めて、一地方から見た現代日本画の流れを、ポイントをおさえながら展示しようと試みました。

「現代」の出発点をどこに据えるかも大きな問題です。この展覧会では第二次世界大戦の終戦以降としています。表現の要素だけに眼を向けるなら、モダニズムを含めた日本画の前衛的表現は、新日本画研究会(昭和9年)、歴程美術協会(昭和13年)、新美術人協会(昭和13年)といったグループ活動に見られるように、昭和戦前期から既に始まっていたといえるでしょう。しかし、日本画とは何か、現代社会の中で日本画を描くとはどういう意味をもつのか、自らのアイデンティティも含め、画家が根源的な問題として真剣に向き合ったのは、戦争によって断ち切られていた活動が再開した、1945年以降としてよいのではないかと思います。(青山)

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