2014年4月25日金曜日

「彫刻のさんぽ道」準備

 4月16日から美術館の誇る彫刻コレクションを一堂に集めた「所蔵品展示 彫刻のさんぽ道」がはじまりました。2日間かけて展示作業を行い、フランスやイタリアの近現代作品から日本現代美術の立体造形まで、具象・抽象とりまぜて、さまざまな時代と国、そしてバラエティ豊かな素材と形の作品が、にぎやかに集う会場ができあがりました。

 庭園に設置されているマイヨール《地中海》やルノワール《勝利のヴィーナス》なども、同じ部屋に写真で紹介してあり、庭から展示室をたどる「彫刻のさんぽ道」を楽しんでいただく趣向となっています。

 今回の展示担当の学芸部長が、坂口正之《仮作体「85-8」》の位置の調整を指示しているところです。
 坂口さんの作品は、一見、厚紙で作られたショベルカー?のようですが、その材質は鉄板。かなり重量があります。鉄の表面の錆加工が均一に処理されて、意識的に、段ボールのような厚紙に見た目が近づけられています。また鉄板と鉄板とが完全に接着されず、あえて隙間が見えるように、歪みを出して構成されています。それらの工夫によって重量感がとりのぞかれ、軽妙な立体に仕上がっているのです。
 また彫刻は、照明の角度や光の強さで表情が全然違ってくるため、納得がいくまで照明の手直しがされました。壁面には彫刻制作のアイディアが表現された素描が展示されています。完成作との相違を楽しむのも一興です。
 実は、作品の展示というのは、担当者の「こう見せたい」という意図によって、非常に見え方が変わってくるものなのです。作品と作品の組み合わせ方、展示場所の高低、照明の仕方、等々で、同じ作品でも印象が異なってきます。たとえて言えば、同じ食材を使って同じ料理を作っても、料理人によって味や見た目が違ってくるようなもの。美術館で働く者の腕の見せ所でもあります。

 美術館ホールには、以前庭園に展示されていたヴァレリアーノ・トルッビアーニ《碇を上げる》が鮮やかな姿でカムバックしています!屋外展示で変形・腐食がすすんでいたので、修復に出されて3年。「彫刻のさんぽ道」で久しぶりにご紹介できることとなりました。
 新しい安定盤の上に台座を組み立て、パーツを設置していきます。スチール製の安定盤は総重量800kg。床面が傷つかないように底面には厚いゴムが貼られています。彫刻そのものは鉄と、鳥と卵の部分がアルミニウム製。見た目よりは軽いですが、その分「きゃしゃ」とも言えますね。
 台座の裏にはトルッビアーニの刻印が!(円盤の下側に「TRUBBIANI 69」)
組み立ての時にしか見ることが出来ない、貴重な光景です。

 碇(いかり)の上に鎖(くさり)が、さらにその先に海鳥の群れが、次々に組み上げられていきます。絶妙のバランスで作品が成り立っていることが感じられます。




「彫刻のさんぽ道」は5月18日までの展示です。ぜひ会場でお楽しみください。天気の良い日は、庭園の彫刻の方もお忘れなく!(青山)

0 件のコメント:

コメントを投稿